読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

アニマガ情報ドットコム

アニメや漫画に興味がある人のための、情報共有ブログです。

マンガと軍事の関係性―日本の「萌える軍産複合体」―

小ネタ

The Diplomatという経済や外交を中心に発信しているウェブ雑誌におもしろい記事がありました。日本のアニメやマンガが自衛隊や軍事といかに結びついているかという点について論じているものです。ものすごく長い上に硬い言葉で書かれているので、おおざっぱに要約して紹介します。

 

・周辺国や国内からの自衛隊への批判を避けるために、日本は「クリエイティブ産業複合体Creative Industrial Complex (CIC)」を利用して「怖くない自衛隊non-threatening Self-Defence Fores」というイメージを作ってきた。CICはさまざまな作品を産みだしたが、その中心はマンガである。

・1970年代のはじめ、マンガの人気を自覚した政府はさまざまな企業と協力するようになる。その好例が、文科省によってお墨付きをもらった中央公論社の「マンガ日本の歴史」シリーズである。

・1980年代になると、ほとんどの政府機関が広報手段としてマンガを利用するようになった。唯一の例外は自衛隊である。当時の自衛隊は国内外からのネガティブなイメージに悩まされており、また反対派の市民とかかわることを避けて孤立状態を好んでいた。そのせいで、マンガという広報手段の採用が遅れた。

・1990年代になると、不況や国際情勢の変化によって日本の影響力が低下した。日本が直面する課題に答えるために、自衛隊防衛庁はより開かれた組織になる必要があった。また、冷戦の終結により、自衛隊は広報組織を充実することになった。こうして、自衛官募集ポスターや広報サイトにマンガキャラクターを使うようになった。

・「ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり」は、21世紀において、軍とクリエイティブ産業との協働がどれほど広まっているか、あるいは自衛隊の描き方がどれほど変わったかを示す好例である。この作品は自衛隊の全面協力を得ており、あどけない目をした怖くない登場人物が異世界人から日本を守る姿を描くことで自衛隊を賛美している。また物語は現代の安全保障問題を扱ってもいる。

・「萌えmoe」の利用は、戦後日本において、自衛隊が普通のものになっていく過程が議論を巻き起こすものであったことを表している。カワイイもの好きで軍隊嫌いの人々は、「萌え」によって自衛隊に親しみを感じる。軍事ものに萌えの要素を入れることで、自衛隊は自身の軍事力を発揮できるようになり、同時に軍隊の持つ恐さも隠すことができる。実際、マンガの中の軍隊は、政府機関や郵便局や鉄道や水道局のようなものと見分けがつかなくなっている。

・最近設立された防衛装備庁のイベントポスターにも、女性キャラクターのイラストが使われた。このキャラクターが意味するのは、われわれは現在の世界情勢を脅かすつもりはありませんよ、ということだ。国家の威信や力強さといった要素は見られない。このポスターを他の商品に使っても違和感がない。キラキラしたピンクの文字を見れば、武器の売買という不道徳な行為も六本木で夜通し騒ぐ程度に思えてくる。

・軍と政府の関係といえば、アメリカがその最たる例だ。アメリカでは、ハリウッドとゲーム業界が協働している。専門家はそれを「軍娯楽産業複合体military-entartainment complex (MEC)」と呼んでいる。日本と同様、MECは大衆に軍が登場するフィクションを提供しているが、その内容は大きく異なっている。日本が自衛隊を控えめに描いているのに対し、アメリカの作品は超マッチョでド派手に描かれている。

・MECは、経済的政治的利益を政府と産業界の両方に生み出している。エンタメ業界は軍事組織の知識を得たり製作費を削減でき、政府は映画を使って政策を浸透させたり、作品を通じて兵士のリクルートをしたり、ナショナル・アイデンティティを伝えることができる。ハリウッドと同様、ゲーム業界も政府とエンタメ業界のつながりによって成り立っている。FPSゲームの代表格であるCall of Dutyは核拡散からテロの恐怖まで、現代の安全保障問題を扱っている。

自衛隊同様、アメリカの軍事組織も国内外における米軍へのイメージを作るために、人気作品を利用している。大衆が政府のアジェンダに不満を持っているときは、ミリタリー映画はよりソフトな米軍像を提供する。20世紀でもっともウケたアクション映画であるTop Gunは、ロナルド・レーガンの軍事的な冒険をロマンスと兄弟愛と国家のプライドで覆い隠すために、アメリカ政府が協力して制作された。

・日本のマンガ・ミリタリーは、読者に自衛隊や政府への批判を再考させる。「積極的平和主義」の時代に入ったことで、政府はCICますます利用するようになるだろう。戦闘機やミサイルに描かれたカワイイマンガは、中級国としての日本の関心の変化を教えてくれる。

・しかし、仮に自衛隊防衛省がカワイイというイメージで自分達をカモフラージュする必要がなくなる日が来たとしても、それ自体が日本の軍事組織が完全に普通のものになったことや、日本人がこのアナーキカルな世界の中で防衛権をどのように見ているかを教えてくれるだろう。

 

どうでしょうか? わかりやすかったですかね?

軍事とカワイイといえば『艦隊これくしょん』だと思うんですが、なぜ言及しなかったんでしょうか・・・(もしかしたら、説明がめんどくさかったのかな?)。

それからカワイイ+軍隊という(おそらく)日本特有の現象と同時に、『永遠の0』や『宇宙戦艦ヤマト』みたいにカッコイイ+軍隊を描いたものもあるわけで、そのカワイイとカッコイイの使いわけはどういう場合にされているのかという分析もほしいなと思いました。